症例11
総義歯症例
症例について
70歳女性。「入れ歯が痛くてモノが噛めない、10件くらいの歯医者で総入れ歯をつくってもらったが、いずれも使えない。」とのことで来院されました。
前医ではインプラントを入れて入れ歯を固定しないとだめと言われたそうです。
写真は持参された入れ歯です。
分析
下顎を型取りし、模型を作って入れ歯を置いてみると必要な部分(青色の領域)を覆っておらず痛みの原因の一つであることがわかりました。
CTを撮影して顎の骨の尖り具合も確認しました。
義歯の作成
上顎を型取りし、石膏模型を作り、南カリフォルニア大学で研鑽を積まれた阿部晴彦先生が開発した器具で分析しました。
同じく阿部先生が開発された器具に模型を装着し、上下顎の関係を記録、蝋の上に人工歯を並べて、治療用義歯を作成していきます。人工歯配列は長谷川が行っております。
治療用義歯
完成した治療用義歯。白い部分は義歯を使用しながら型取りを自然にしてくれる材料です。
この過程を経ず、いきなり教科書的に本番の入れ歯を作っても失敗する事が少なくありません。
治療用義歯は痛みがなく受け入れていただけました。
これに石膏をついで模型を作って最終義歯を作ります。
最終義歯
最終義歯はブレードティース(金属の部分)を使用しました。
通常の人工歯に比べて効率よく咀嚼ができ、義歯直下の歯肉に極力ダメージを与えません。
模式図は左側が平らにへってしまった人工歯、中央が普通の歯の形をした人工歯、右がブレードティースです。
「治療用義歯から最終義歯まで一度も痛みがなく噛めた。インプラントを入れずに済んだ。」と患者さんには非常に喜んでいただけました。
検査
東京医科歯科大学で開発された咀嚼効率チェックガムで検査しました(100回咀嚼)。
咬むと色が変わっていき、色スケールの数字が上がるにつれてよく噛めていることを示します。
通常の総入れ歯の場合、平均5~6と言われていますが、本ケースでは9というスコアでした。
ブレードティース使用の総義歯 上下で70万円~
各症例の費用、治療期間、副作用、リスクについて
症例⑪ | |
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費用 | 約70万円 |
期間 | 約半年 |
リスク | 長期間使用すると入れ歯が緩くなる可能性がある |