松翁会歯科診療所
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睡眠時無呼吸症候群
Shouohkai Dental Clinic

睡眠時無呼吸症候群

概説

いびき、とくに無呼吸後の猛烈ないびき、昼間の強い眠気、熟睡感がない、起床時の頭痛などの症状を訴え、睡眠中に頻発する呼吸停止(無呼吸)を特徴とする疾患が睡眠時無呼吸症候群(SAS)ですが、
そのほとんどは気道が閉塞する閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS:obstructive sleep apnea syndrome)です。

この閉塞型睡眠時無呼吸症候群の問題点は、家族にとっては「いびき」のために安眠を妨げられることだけですが、実は本人にとっては大きな問題が3つあります。

症状/診断

1つめは、無呼吸が繰り返し起こるためにたびたび脳が目覚め、熟睡ができない結果として昼間に著しい眠気に襲われます。

2つめは繰り返される無呼吸の時に、動脈血中の酸素が不足する(低酸素血症)とともに、二酸化炭素がたまって血液が酸性に傾くことから、不整脈、心筋梗塞、脳梗塞などを起こしやすくなります。

3つめも夜間に脳が目覚めることが繰り返えされるため、交感神経の緊張状態が続いて自律神経が乱れることにより内分泌系にも影響を及ぼし、低酸素血症のストレスも加わり、動脈硬化症、糖尿病や高血圧症などの合併症を発症するといわれていることです。

標準治療

SASを完全に治す治療法はいまだありません。しかし、一般的な内科的治療法としては、減量、歯科装具療法、経鼻的持続陽圧呼吸(n-CPAP)療法などがあります。

[1]減量

閉塞型睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、多くは肥満に加え、高脂血症、糖尿病、循環器系疾患などいわゆる生活習慣病をあわせもっていることが多く、積極的な食事療法や運動療法により減量することが必要です。とくに比較的軽症の閉塞型睡眠時無呼吸症候群の人では、減量することだけで無呼吸が軽減することもあります。ただし、痩せていて、顔や顎の形態が閉塞型睡眠時無呼吸症候群の原因と考えられる人は、減量しても効果は認められません。

[2]歯科装具療法

閉塞型睡眠時無呼吸症候群のある患者さんでは、上気道の形態が健康な人に比べて狭くなっていることがあります。そこで、睡眠中に下顎や舌を前方に押し出すように固定する歯科装具(マウスピース)を装着すると、下顎が下がらないようになるため気道が確保され、いびきや無呼吸が軽減します(図1:歯科装具)。

このマウスピースは個々の患者さんの歯型に合わせて歯科医院で作成することができます。そして平成16年4月からは健康保険も適用になりました。ただ、マウスピースは軽症から中等症の一部のOSASの人には有効ですが、重症の人では有効性は十分ではありません。

そこで何らかの理由でn-CPAPがうまく使えないとか、出張が多くてn-CPAP装置を持ち運びできない、寝返りのためマスクが外れやすい、口をあける癖が直らないためn-CPAPが使えないなどの理由がマウスピースの適応になると考えられます。

ただ人により、顎が疲れたり、顎関節痛が起こり口が開ききずらくなってマウスピースを継続できない場合もあります。

[3]経鼻的持続陽圧呼吸(n-CPAP)療法

現在、最も有効な治療法として第1に選択されているのが「n-CPAP療法」です(図2:CPAP装着中)。わが国でも健康保険が適用されており、症状の重い人ほど一夜にして劇的な効果が得られます。この装置は、睡眠中に鼻につけたマスクから持続的に空気を流して気道を広げる圧力(陽圧)をかけ、睡眠中に気道が閉塞するのを防ぐものです(図3:CPAP療法の原理)。個々の患者さんごとに睡眠ポリグラフ(PSG)検査の結果に基づいて、有効な適正圧を設定します。また、気道の閉塞程度により自動的に圧が変動する機種もあります。

n-CPAPの効果は顕著で、治療を始めた第1夜からいびきや無呼吸が消失し、熟睡できます。しかし、なかには鼻マスクの不快感、圧迫感、送られてくる空気により鼻粘膜の乾燥や鼻閉感、装置の音や振動が気になる、朝、顔にマスクの跡がつく、口をあける習慣のために送られてくる陽圧の空気がもれてしまい十分の効果が得られない、寝返りがしづらいなどを訴え、この鼻マスクによるn-CPAP療法になかなかなじめない人もいます。

しかしこの場合、マスクのフィッティングの調整、装置の途中に加湿器を付けて送られてくる空気の湿度を高めたり、マスクの使用前に点鼻薬を併用したり、顎を引っ張る付属の紐を併用して口が開かないようにするなどの対処を行い、多くの人は継続することができます。ただし、n-CPAP療法も原因を治す治療ではないので、長期的に毎晩実施する必要があるため、先のことを考えて治療継続が面倒になったり、嫌になったりして中断する人もいます。

図2:CPAP装着中
図3:CPAP療法の原理

生活上の注意

日常生活の注意としては、肥満を予防することはもとより、就寝前の飲酒や睡眠薬の服用、過労などは気道の筋肉をゆるめて、いびきや無呼吸を増強させるので避けることが望ましいです。また、仰向けよりも横向きに寝るほうが気道の塞がりを軽減できます。

当院での実績と対応

平成23年4月現在、約1000例の方にマウスピースを適応し、再検査にて有効率は約70パーセントでした。これは学会等で報告されているデータと同じでした。軽症の方の場合は当院で効果判定のための簡易検査を行うことができます。重症の方は紹介元の医療機関での検査が必須です。

マウスピース治療をご希望の方は、医科からの紹介が必要です。健康保険制度上、医科で睡眠の検査を受けていただき、その診断のもとに歯科に紹介される仕組みになっています。当院では虎の門病院、神経研究所付属睡眠呼吸障害クリニック、日本医科大学付属病院などと連携して治療に当たっています。

鼻の通りが悪い方はマウスピースの適応外ですので、かかりつけの耳鼻科医におかかりなるか、もしくは当院の上の階の東京サージセンターに紹介いたし鼻の通りを良くしていただきます。

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