インプラントの成功率
患者の割合と治療成績
現在デンタルインプラントの10年生存率はシステム、患者の年齢などにより左右されるがおおむね90%以上となっています。また、インプラント治療施設に来院する患者の平均年齢は年齢的には若く、しかし歯周病などの影響が顕在化する40代-50代が一番のボリュームゾーンとなっています。
現在デンタルインプラントの10年生存率はシステム、患者の年齢などにより左右されるがおおむね90%以上となっています。また、インプラント治療施設に来院する患者の平均年齢は年齢的には若く、しかし歯周病などの影響が顕在化する40代-50代が一番のボリュームゾーンとなっています。
高齢者に関しては全身疾患などの影響により症例数が比較的少ない状況でした。しかし、 高齢化の社会情勢を受けて、患者数は増加傾向にあります。高齢者の治療成績はENG-FORSらが80才以上の133人に固定性の上部構造を装着し5年残存率が上顎で93.0%、下顎で99.5%を示したと報告、日本においても鶴巻が、25人を平均27.2ヵ月調査し、累積残存率98.6%の結果を得ています。
以上より高齢者のインプラントの治療成績も若年者に対しそれほど劣ったものではないという結果が得られています。しかし全身合併症、手術時合併症に留意する事が必要です。
構造
インプラントの構造は、顎骨に埋めるフィクスチャー部と被せ物の支台となるアバットメントからなり、双方が一体となった1ピースタイプ(1パーツタイプ)と別々になった2ピースタイプ(2パーツタイプ)が現在の主流です。
骨結合の喪失の原因
インプラントは様々なデータがあるが一般的に200本入れると5本は定着せずに脱落(ロスト)してしまいます。 ロストの原因には以下のものが考えられます。
感染
上部構造に対するオーバーロード(過重負担)
火傷
ドリリングの際の発熱による火傷により定着しない場合があります。概形を掘る場合はさほど問題がないが、インプラントに接する面に関しては低速でできるだけ発熱を抑えてドリリングをする必要があります。特に固すぎる骨の場合は繊細で慎重な埋入窩の形成が望まれます。
インプラント周囲炎
インプラントも天然歯における歯周病と同様に感染を起こし、インプラント周囲の骨を失う事があります。経年的にロストする一番の原因がこれです。予防には定期的な検診、ケアが有効です。主にチタンでできているインプラント自体は半永久的とも言える長さでもつものですが、それを受け入れる人体の方は感染等のリスクに常にさらされ、また経年的に変化する有機体です。「インプラントはどのくらい持つのか?」という命題に対しては平均的なデータは存在しますが、すべての人が平均寿命まで生きる事ができないのと同様にあくまで個人の遺伝的性質、ライフスタイル等に大きく左右される一人一人異なるものだという理解が術者のみならず、手術を受ける患者さんサイドもにも必要です。
この他に近年、オッセオインテグレーションに関与する遺伝子が発見され注目されています。これは遺伝子的にインプラントが定着しづらい人の存在を示唆します。 将来的には術前にインプラントに適した体質かどうか検査を行うという展望が予想され、それによりインプラントの成功率の向上が期待されています。この分野の研究はアメリカで特に進み日本では岡山大学歯学部などで研究されています。
認定制度
日本歯科医学会の専門分科会である日本口腔インプラント学会がインプラント治療従事者への認定制度を設けています。また国内や海外でも様々な団体が認定医制度を設けています。当院では海外ではICOI国際インプラント学会、国内では近未来オステオインプラント学会の認定医を取得しています。
前歯部インプラント例 |
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